幻想俯瞰飛行

生存記録を兼ねて長文を書くためのブログ。文章読んだり書いたりします。 

今年行った中で良かったライブ会場BEST5・2019年



 年の暮れです。
 土日祝お休みスケジュールの方だと27で年末年始のお休みに入る方が大半だと思われますが(そうじゃない方、経験あるので気持ちめっちゃわかります頑張りましょう……)、皆さまいかがお過ごしでしょうか。2019年の総決算、ひいてはテン年代の総決算の時期になってまいりましたが、私の部屋は未だ汚いままです。

 まぁそれはそれとして(全然それはそれとできないが……)、時節柄、様々な人が様々な形で「今年のベストテン」みたいなやつをやっています。私も昨年までは今年読んだ本ベスト5を余所でやっていたのですが、2019年はあまりに本を読んでいない、頑張ってゴッチが帯書いた「友情だねって感動してよ」読んだし今も必死にワールドトリガー読んでるのでそれで許してほしいみたいな感じなのですが、小説も音楽もベストを挙げづらい怠慢の一年、それでも何かまとめてみたい……

 せや!ライブ会場ベスト5にしたろ!

 「良かったライブベスト5」でもよかったのですが、芸がないのと、ほぼ全部アジカンになってしまいそうな気がします。あと、会場括りで挙げるといろんな人が楽しめるかな、という思いもあります。参考にしてほしいです。何の……?
 ちなみに私が今年行ったライブは、フェス・オタク系含め20本(これから行く予定のCDJ含)だった気がします。自分にしては多いけどもっと多い人は沢山いると思うので、皆さんの会場ベスト5も是非教えてください。


第五位: 恵比寿リキッドルーム(東京都渋谷区)

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恵比寿リキッドルーム(2019.3.18 アジカン
 最寄駅:JR山手線/東京メトロ日比谷線恵比寿駅 収容人数:1000人

 3月18日 ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2019「ホームタウン」
 3月22日 THE PINBALLS end of the days tour
 一方はベテランロックバンドの超高倍率ライブ(なんで取れたのか自分でもよくわからん、祝福してくれた皆さまありがとうございます)、もう一方はメジャーデュー一年ちょっとの現在躍進中のロックバンドの満を持してのソールドを迎えたツアーファイナル。そんなエモい対比(勝手に)を一週間の間に味わえたのは光栄と言う他ありません。どっちもめちゃくちゃ良かった。さらに、開演時間が15分しか違わないのに、延々MCで一人喋り倒すおっさんのバンドと言葉少なにクールに短い曲を畳みかけていくバンドで終演時間が一時間以上違うのがかなり面白かった。

 会場としてのリキッドは、恵比寿駅からさほど離れておらず道程もわかりやすいところ、周辺の飲食店等施設が充実しているところ、柱にさえぶつからなければ観やすいところなど、割と好きなタイプ。初めて行ったのは十年ほど前のNICO Touches the Wallsだったと記憶しているのですが(時節柄いま思い起こすと悲しみがある)、恵比寿という立地もあいまってティーンの自分にはハイソなライブハウスに見えたものです。二階のカフェも来た経験があり、良かったです。カフェのついているライブハウス、好き。
 この辺のライブハウスの例に漏れずリキッドもロッカー盗難が話題になりましたが、ロッカーの他にクローク(500円だった気がする)があったので、私は二日ともそっちを使いました。クロークあるとこはそっちのほうが安心する。あとは恵比寿駅ですかね。

 ピンボールズは昨年のアコースティックが初見だったため、バンドセットでは初。とにかく圧があり、とにかくクール。「アダムの肋骨」という名盤のスタイリッシュさを余すところなく体現し、凝縮した一時間半(くらいだったと思う、短かった)でした。その立ち振る舞いに反してアツく初々しい古川さんのMCにも感慨が籠っていて良かった。昨今の邦ロックシーンで稀有な泥臭いガレージロック、是非とも頑張って欲しい。
 アジカンはゴッチが「俺も再結成でちやほやされたいな~、アジカンは無理だからGotch解散して再結成しよっかな♪」みたいなことを言っていたのでこいつ……と思いました。そもそもソロの解散ってなんだよ。ホームタウンツアー初参加の日だったので、様々な衝撃がありました。
 会場の良さもさることながら、「リキッドで演ること」に意味があった2バンドのライブでした(ゴッチの新宿リキッド時代の思い出も含め)。

 思い出
 ピンズ:トリプルアンコでうれしかった、フォロワーさんに教えてもらったトーチカフェが良かった
 アジカン:ミシマ社営業さん見かけてツイートしたら捕捉された


第四位: ウェスタ川越大ホール(埼玉県川越市

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ウェスタ川越(2019.3.9)
 最寄駅:JR川越線東武東上線川越駅西武新宿線本川越駅 収容人数:1700人

 3月9日 川越春一番コンサート2019 ACIDMAN&IMO楽団
 ACIDMAN好きの友人に誘われ、会場も我らが埼玉ということで参加。
 あまりコンセプトなどについても調べないで行ったのだけど、「川越いもの子作業所」という知的障害者の自立支援施設の利用者と職員の方によって結成された「IMO楽団」というバンドとのコラボライブということで、福祉に強い関心があった私にとってはかなり衝撃的というか、いろんな思いを抱いたライブになりました。
 母が介護の仕事をしていた経験があったり、私も病弱な身のため学生時代から社会福祉に関心があっていろいろ勉強したり当事者の方とも関わったりしている身分なのですが、まずACIDMANがこういう活動してる(しかもツアー真っ最中だよ)のってすごい意義があるし、当日見られたファンの方も積極的にそれを応援している感じがあって、なんか……音楽っていいなあって……。(語彙力幼稚園児)
 ライブのテーマ性とウェスタという土地柄か、地元の方っぽいお客さんも多く、地元の名産品の出店みたいなものもあって、川越っていいな……という感情も抱きました。ライブやフェスと土地性というのは分離しがたいし、むしろ今後重視されていくところになると思うので、町おこしやアピールにどんどん使われて欲しい。「障害者が安心して働き暮らせる街は、災害に強い街」というテーマも良かったです。ライブに障害者割引があるのも良かった(というか、そもそもなんでロックバンドのライブやフェスには障害者割引がないんだろう)。
 ACIDMANの一貫した「宇宙(マクロ)と生命(ミクロ)」という世界観もすごく合致していて良いライブだったし大木さんのよく響くロングトーンええなとか思ったのだけれど、私は作業所の方々が音楽に合わせて自然に身体を揺らしていたことに本当に感銘を受けました。自由だった。我田引水だけれど、ゴッチの言う音楽における自由って、あれじゃん、って思った。帰りがけに友人と、「なんで私たちってわざわざあんな同じ動きをしてるんだろう」って話し込んでしまいました。笑。でも本当に、決まりきった動きを誰からともなくしてる我々のほうが何かおかしいんじゃないの? とすら思った。
 言葉を選ばずに言うなら、アジカンも社会のことを考えるバンドとして、3ミリくらいでも障害者福祉に関心をもってくれたら、私はとてもうれしいな、と思いました。自分でやれやと言われそうだけど。
 ACIDMAN、そして大木さんからは、本当の地元愛というものを感じます。埼玉の誇りや!!!

 ウェスタは交通の便もいい(都内から電車一本、30分ちょっとで駅からも近い)し、新しい施設だし、周囲も充実していて利用した感想も良かった(音も良いと感じた)ので、埼玉県民として今後もロックバンドがバンバン来てくれると嬉しいなと思う。これもまた、この会場であることに非常に意味のあるライブでした。

 思い出:車椅子の観客の方をスタッフさんが即座に見やすい位置に案内していて、ああこれだな、と思った。


第三位:多摩六都科学館プラネタリウムドーム(東京都西東京市

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多摩六都科学館(2019.9.14)
 最寄駅:西武新宿線花小金井駅 収容人数:234人

 9月14日 ROTH BART BARON The PLANETARIUM
 ロット好きの友人(前述のACIDMAN好きの人)と。
 WWWでこの企画の発表を聞いたとき、「優勝!!!!!!!!!!!」と思ったのですが、プラネタリウムでライブするという時点で優勝!!!!!!!!!!!!!じゃないですか!?!?!? しかもそんじょそこらのバンドではない、ロットバルトバロンですよ。世界観合致しすぎなんですよね。クラウドファンディング参加メンバーのプロデュースというのも非常に良い。ロットリスナー、センス良すぎ……教会とかの案もあったらしくてそっちも観てみたかった……。音楽性といい活動内容といい、ロットは本当に新時代のバンドという感じがして、売れて欲しいというわけではないが(売れて欲しくないわけではない)どちらかというともっと評価されてほしいというバンドです。「けものたちの名前」もめちゃくちゃ良かったよ~~~
 ロットもなかなか曲調の広いバンドだと思うのですが、この日のライブはアコースティックで構成されており、それでも「しっとり」という感じだけでは語りつくせない繊細さと壮大さの両極を演出することに成功していて、本当に陶酔できたライブとなりました。映像演出も良かった。会場としても、プラネタリウムだけあってリラックスして観れるシートで、丁度体調崩してた時期だったんで非常に助かりました。プラネタリウムでライブ、もっと流行って欲しい。

 思い出:物販で友達が「ヤバい」を連呼してたら三船さんに「YABAI」ってサインを書かれてた。私はアジカンからであることを伝えると「またゴッチのこと弄っとくから☆」って言われた。


第二位:メットライフドーム(埼玉県所沢市

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メットライフドーム(2019.7.13)
 最寄駅:西武狭山線西武山口線西武球場前駅 収容人数:33556人

 7月13日 BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark
 前述のACIDMANとロットが好きな友人と行きました。今年この人とばっか行ってますね。アジカンZeppも彼女+もう一人で行ったし……
 メットライフドーム、オタクライブから人気アーティストライブまで様々なファンの人から「超過酷」「人間のいていい環境じゃない」「終わった後一生出れない」「夏に行くな」「雨が降ると死ぬ」などの脅しをかけられておりまして、非常に恐れていました。やきうのお兄ちゃんはメラドって略すの?
 実際その通りで、当日そこまで雨が酷くはなかったため(屋根はあるけど横ががら空き)横から吹き付ける雨にもそこまで悩まされず、トイレがめっちゃ混むくらいでそこまで困りはしなかったです。帰りまでは。
 もともと都内から行こうとするとそれなりに乗車時間の長い会場なのですが、問題は帰り。なんせ三万人を収容する会場、最短距離では大したことないはずなのにドームから西武球場前駅まで30分経ってもたどり着けないという試練の終演後でした。けっきょく電車に乗るまで一時間以上かかった気がする……駅まで着けても満員すぎて乗れないので……これがメットライフの難関たる所以……と身をもって知りました。

 ライブ自体は最高でした。ゼロ年代邦ロックのオタクなら一度はバンプを生で観たいという欲望があると思うのですが、その欲望をようやく叶えられた日でした。福利厚生が良すぎた。銀テは舞うし演出はすごいし、メンバーは何度もあっちこっちを行ったり来たりしてくれるし、Tシャツ投げるし、あとあのLEDリストバンド初体験だったんですけど何あれマジでヤバすぎる曲に合わせて勝手に色変わって光るって何あれ???ハイテク???ここは近未来???SFの世界????原始人みたいな環境にしかいないのでよくわからない……でもすごかった……
 エンターテインメントとしてのロックバンド、というものを強く感じました。めちゃくちゃ無粋な言い方をすると、お金がかかっている、になるのだろうけれど、本当にいいものは金をかければよりいいものになる、ということだし、何より金をかけてもらえる価値が彼らにはあるんだなとも。ここまでの規模の国民的ロックバンドになっても、ファンの一人一人に寄り添い、想い、真摯に演奏をするバンプというバンドの熱にやられた一日になった気がします。個人的に超好きな「真っ赤な空を見ただろうか」、そしてアンコールでゴッチも好きなことでお馴染み(そうか?)「ランプ」を聴けたのも感動しました。
 彼らの進化にも賛否両論ある(マジで!? と思ったんだけど、バンプレベルでも言われるんだね……)みたいなんですけど、こういうロックバンドが国民的な立ち位置まで来られるっていうのはこの国の音楽シーンへの希望のひとつでもあると思う。ていうかメンタルが強すぎる。観てて思ったんだけど、メンバーの立ち振る舞いとかもその要因のひとつなのかな。チャマがスポークスマンになっているおかげで藤くんのクリエイターとしての繊細さが守られていて……とか勝手に妄想を繰り広げてしまった……

 メットライフドーム、会場として好きではないんですけど、この規模の会場でこのバンドを観られた、というところ、あと埼玉加点で二位になりました。今度は狭い場所で観てみたいけど、倍率が無理ですね……

思い出:終演後人波にもまれていると、隣の女性が連れの人に「藤原基央の歌詞にみる哲学」みたいな話を熱弁していて非常に興味深かった。オタク語りというよりはそっちの専攻の人感があった。音楽文書いてほしい


第一位:パシフィコ横浜国立大ホール(神奈川県横浜市

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パシフィコ横浜(2019.7.25)
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パシフィコ横浜国立大ホール 終演後(2019.7.25)
 最寄駅:みなとみらい線みなとみらい駅 収容人数:4538人

 7月24日・25日 ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2019「ホームタウン」

 ここまで良かった会場を挙げてみると、条件は二つに絞れます。「会場自体の利便性・快適性」と「アーティストがその会場で演奏する意味・物語性」。その二つの観点、また単純なライブ自体の良さも鑑みると、やっぱりこのライブがナンバーワン。

 今のアジカンが最高であることは古事記にも書いてある常識なのですが、その原因は「この四人であることに多大な意味がある」アジカンというバンドで、「バンド内の雰囲気や風通しが過去最高に良い」ことに尽きるというのが持論です。アジカンはゴッチのワンマンバンドと認識されがちなのですが、その実、他の三人の役割がかなり大きいところはファンであるほど周知の事実なのではないでしょうか(例えば、喜多建介のリフやソロがないアジカンアジカンではないでしょう)。そんな四人が苦難の時期を乗り越え、ゴッチをして「生きていて良かった」とすら言わしめるシーズンに突入したこと、成長という意味も含め、バンドにとっては喜ばしいことだし、単純にエモい。

 昨年12月にリリースされたアルバム「ホームタウン」のツアー、ライブハウスとホール含めて計35本の最後の2本。別に休みでもなんでもないので本当は25だけに行くつもりだったんだけど、ぴあの抽選に当たってしまったので時空を歪めて参加し、25日の午前中を中華街などの観光に当てました。パシフィコ、その辺もかなり立地が良く、みなとみらい周辺だけでも海を見るなり船に乗るなり観覧車に乗るなりこれからライブ行く推しアーティストイメージ痛カップヌードル作ったりと様々な選択肢がありますね。これは会場の良さとしては重要です。ちなみに私は中華街で某番組のロケ地だった同發別館行ってファルコン・ランチしたんですけど、ロケ地とか関係なく凄まじくおいしかったです。同行者のおかゆみたいなやつ食わしてもらったらおいしすぎておかゆの概念が破壊されました。
 会場評でいうと、パシフィコはシートが心地いいだけでなく、座席が斜めに配置されているのでどこでも観やすいのが強いと思います。二日目はもともと神席でしたが、一日目はほぼ最後方という感じで、しかし特に困ることなく観られました。この辺が様々なジャンルにおいて支持の強い会場たる所以なのかなと。

 アジカンとパシフィコ、といえば、ライブ中のMCでも触れられたように、彼らの母校にして結成の場である関東学院大学の卒業式会場がパシフィコですね。まぁゴッチは出なかったとか建さんは一年遅れだったなどの問題児エピソードに事欠かない問題児バンドなので素直に思い出~! という感じではないのかもしれませんが、横浜に強い縁を持つバンドとして、また彼らの改めての「卒業式」としても、非常にいい会場チョイスだったと思います。惜しむらくは週のど真ん中だったことで、次やるなら是非土日にして欲しい……様々な意味で……穴を空けるのが非常に大変だったので……(あと「興味ある」と言ってくれた友達何人かが日程を見て悲しい顔をしたので……)(越谷とか土日だし立地も良かったけどさっさと売れちゃったじゃん……)。

 ツアーの内容については語るところがありすぎるのでまた別の機会にということで、25日の公演が映像化された最新DVDをお薦めしておきます(レギュレーション遵守)。

映像作品集15巻 〜Tour 2019「ホームタウン」〜(Blu-ray)(特典なし)

映像作品集15巻 〜Tour 2019「ホームタウン」〜(Blu-ray)(特典なし)

  • 出版社/メーカー: KMU
  • 発売日: 2019/12/04
  • メディア: Blu-ray
 簡潔な感想としては「山田貴洋最高」「解放区最高」です。

 思い出:フラワースタンド企画に参加させてもらい、調子こいてイラストパネルまで描かせていただいた。いろんな方に写真を撮ってもらい、SNSでもたくさんの方にアップしていただいたので、感慨もひとしお。ただし己の絵なので非常に恥ずかしい。



番外編
千葉市蘇我スポーツ公園(JAPAN JAM):遠いけどフェスとしての環境整備が完璧だった。同行者の方と一緒に潔さんにめしをよそってもらった(語弊)。とてもいいお話ができて楽しかった。潔さんありがとうございます。
サンシティ越谷大ホール(アジカン):埼玉ポイント。開場前に近くのステージで謎のフラダンスグループが新宝島で踊っていた。喉が痛かったので隣のスーパーでのど飴を買った。
・下北沢CLUB251(伊知地潔260°):ポルノグラフィティの「VS」の聖地。(アジカン関係ない)

ポルノグラフィティ 『VS(short ver.)』 / Porno Graffitti 『VS(short ver.)』